203号室 その2 - 7/7

【ごちそうさま】

 山姥切と二人で食事をとるようになってしばらく経つ。最初はぎこちない様子だった彼も最近はすっかり慣れたようで、食事をともにするのが当たり前になっている。今日はお互いの仕事が早く終わったため、久しぶりに一緒に夕食を食べることができた。私はいつものように手を合わせていただきます、というと、彼は少し照れくさそうにいただきます、と言って箸を手に取った。
 今日のメニューはカレーライスとシーザーサラダ。カレーライスには福神漬をたっぷり添えた。スプーンですくい上げて口に運ぶ。玉ねぎの甘みがちゃんと出ていて、なかなか上手にできたと思う。
「どうですか?」
「うまい」
 即答だ。山姥切は本当に美味しいものを食べたとき、すごく素直な感想をくれる。それが嬉しくてつい聞いてしまうのだ。私が作った料理でもなんでも、用意したものをおいしいって言ってもらえるのはとても嬉しい。「よかったです」ほっとした気持ちになって食事を再開する。山姥切はまた黙々と食べ始めた。
 カレーライスはすぐに皿からなくなってしまった。彼がお代わりを所望したので、炊飯器と鍋からよそって渡した。二杯目も綺麗に平らげてしまった。よほど、今日の仕事が疲れたのだろうか。山姥切は政府施設でのことをあまり語らないので、彼がどんな仕事をしているのか私はよく知らない。
「まだおかわりしますか?」
「いや、もう十分だ。ありがとう。うまかった。」
 山姥切は満足そうに息を吐くと両手を合わせて「ごちそうさま」と言った。
「お粗末様でした」
 そう答えたのち、私も「ごちそうさまでした」と手を合わせた。