審神者の見合い - 2/5

気が進まない
 

 最近、審神者のため息の回数が多いことに全刀剣男士が気づいていた。庭を眺めてはため息をつき、物憂げな表情を浮かべている。
 心配になった初期刀が訳を尋ねると、審神者は困ったような顔でぽつりと静かに答えた。
「……今、強く結婚を勧められていて……ついに来週末、お見合いをすることに……。断りきれませんでした……」
 はぁ……、とマリアナ海溝よりも深いため息をついてみせる審神者に、山姥切国広は眉間にしわを寄せた。「相手は?」短く尋ねると、審神者は「別の国所属の審神者さんです。……はぁ、どうしたものでしょう」と再びため息をつく。
「まだ結婚が決まったわけじゃないんだろう」
「まあ、そうなんですけどね……。お見合いってどんなことをするんでしょう?」
「知らん。……まさか、受けるつもりなのか?」
 山姥切はじっと審神者を見つめた。審神者はそっと目を逸した。
「……受けませんよ」
「ならいいが……」
「でも、断れるでしょうか? こんなこと初めてだから、どうすればうまく断れるのかわかりません。そもそも、どうして私がお断りする前提なんですか? 向こうだって私なんかと結婚なんてごめんでしょう。たいして器量が良いわけでもない、よく知らない私なんかと。それなのに、いきなり『はい、結婚しましょう』だなんて、そんなの無理ですよ。……それに」
 一気にまくし立てた審神者はそこで言葉を区切った。目を伏せ、そのまま足下を見つめながら、静かに続けた。
「……すみません。山姥切くんに言っても仕方のないことでした」
 そう言って力なく審神者は笑う。その様子に山姥切は何も言わなかった。黙ったまま、俯いている審神者の頭を撫でた。

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