見合い当日・朝
朝早くから準備に追われ、審神者は化粧台の前に座っていた。鏡の向こうにいるのは、緊張した面持ちの女。お見合い用にと着飾った自分をまじまじと見つめ、ため息をつく。誰だ、おまえは。
せっかく刀剣たちがいろいろ準備してくれたというのに、出てくる感想はこれである。紅が派手すぎるのではないか。普段よりも張り切った化粧を施した自分の顔に、審神者は馴染めずにいる。
お見合い自体が初めてだった。もちろん(虚しいことに)、審神者は誰かと付き合ったこともない。いまのところ結婚願望もない。自分には無理だろう、そういう諦念がずっと心の中にある。審神者は再度ため息をついた。
すると突然、障子戸がスパン! と勢いよく開かれた。驚いてそちらを見ると、そこには山姥切国広がいた。彼は無表情のままズカズカと部屋に入ってくると、審神者をじっと見下ろした。
審神者は目を丸くして、呆然と彼を見つめた。彼はしばらく黙っていたが、やがて静かに口を開いた。
「あんたが俺と結婚すると言ってくれれば話は早いんだが」
少しの間を置き、審神者の顔はゆでダコのように真っ赤に染まった。