姥さにつめ - 3/5

拠り所

 

 薄暗い部屋の中、山姥切国広は己の主の膝に甘えるように頬を寄せていた。金色の髪がさらりと流れて、膝の上に散らばる。その髪を、審神者は優しく手ですくいながら、愛おしそうなまなざしを向けて微笑んでいる。二人の間に流れる空気はひどく甘い。
「……あるじ」
「はい、ここにいますよ」
 頭を撫でながら、もう片方の手が頬に触れる。短刀が「働きすぎだ」と心配する彼女の手は少しかさついていて、でも、温かい。山姥切はその手のひらを自分のそれで包み込むようにし、指先に唇を押し当てる。何度も飽きることなく繰り返し、ぺろ、と舐める。くすぐったそうに笑う審神者が愛しくて、仕方がない。そんな彼女を見つめながら、さらにぺろぺろと舌を這わせていると、「猫さんみたいですね」と彼女は微笑んだ。
「……にゃあ」
 猫の鳴き真似をし、審神者の腰元に腕を回して抱き着けば、彼女は「よしよし」と頭を撫でてくれた。山姥切は満足げに喉を鳴らし、彼女にすり寄る。
「今日もたくさん頑張ってくれましたね」
 審神者の手が山姥切の頭から背中へと移動していく。ぽん、ぽん、と一定のリズムでたたかれるたびに、山姥切の心は満たされていく。もっと、と強請るように体を密着させ、ぐりぐりと彼女の腹に顔を埋めれば、審神者の笑い声が聞こえてきた。
 ふわふわとした幸福感に包まれながら、山姥切はゆっくりと目を閉じた。

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