長義さにつめ #2 - 3/6

 汗

 陶器のようになめらかな白い肌の上をしずくが滑り落ちていく。首筋から鎖骨、そして胸元へ。審神者はタオルを手に取ると長義の体を丁寧に拭いてやる。刀剣男士も風邪を引くのだろうか。そんなことを考えつつ、熱に浮かされ荒い呼吸を繰り返す彼の様子をうかがう。
 熱が上がってきたのか先ほどよりも顔が赤い。審神者は不安になって彼の額に手を当てた。やはり熱い。濡れた手ぬぐいを絞り直して彼の額に乗せる。
 少しはましになるといいのだけれどと思いながらじっと見つめる。彼は目を閉じて浅い息を繰り返していた。頬を優しく撫でると長義は薄く目を開いて審神者を見た。その表情はどこか弱々しい。
「大丈夫ですか? 薬研くんを呼びましょうか?」
 そう尋ねると長義はゆるゆると首を横に振り、立ち上がろうとした審神者の手首をつかんだ。彼は熱のせいで力加減ができないらしく、思いのほか強い力で握られて痛みに顔をしかめた。
「……すまない」
 長義は審神者の手を握ったまま掠れた声で呟いた。「こんな姿を晒すつもりはなかった」彼は眉根を寄せると悔しげに唇を噛んだ。審神者は首を横に振る。
「誰だって調子が悪くなることくらいありますよ」
 その場に座り直し、手を伸ばして彼の額から手ぬぐいをどけると、審神者はそっと前髪を払って額に口づけを落とした。
「あなたにも休養が必要のようです。ゆっくり休んで、早く元気になってくださいね」
 にこりと微笑んでみせ、長義の頬を撫ぜる。疲れた彼が寝息を立てるまでずっとそうしていた。

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