長義さにつめ #2 - 5/6

 木漏れ日

 本丸の裏庭にある大きな木の下は絶好の昼寝スポットだった。本日は快晴。穏やかな風が吹いている。絶好の昼寝日和だ。本丸の皆が昼食を終えてそれぞれの時間を過ごし始めた頃、私は一人裏庭の木の下で寝転んでいた。青々とした葉っぱの隙間から太陽の光が差し込んでくる。その柔らかな光を浴びながら目を閉じて深呼吸する。肺いっぱいに空気を取り込むと体がぽかぽかと温まってくるのを感じた。気持ちがいい。
 うとうとと微睡んでいると、ふと人の気配を感じた。まぶたを開ければ、目の前に逆さまになった山姥切長義の顔が飛び込んできた。思わず悲鳴をあげそうになったがなんとか堪える。バクバクと心臓がうるさいくらいに音を立てていた。
「驚かせてしまったかな?」
 彼は私の顔をのぞき込みながら微笑んだ。その顔はまるでいたずらが成功した子供のように無邪気なものだった。私が何も言わずに黙ったままでいると、長義は私の隣に腰を下ろした。
「隣に座ってもいいかい?」
 彼の言葉に、うなずくことで返事をする。長義は私の隣に座ると、肩に頭を預けてきた。さらりとした銀髪が首筋にかかってくすぐったい。長義はそのままの姿勢で言った。
「しばらくこうしていてもいいかな」
「好きなだけそうしていてください」
 そう答えると彼はどこかほっと安心したような表情になった。私の左手をおもむろに握る。その手をそっと握り返せば彼は嬉しそうに笑った。
 暖かな日差しがきらきらと私たちに降り注いでくる。心地の良い春の日だ。
 

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