姥さにつめ #2 - 6/11

おやすみなさい
 

 今日も一日が終わる。審神者が自室の布団に入ると、障子の向こうから控えめに声をかけられた。
 入ってくれて構いませんよ。上体を起こしながらそう返せば、静かに障子が開かれる。そこには腕にマイ枕を抱えた山姥切国広が立っていた。彼は部屋に入って後ろ手に戸を閉めると、布団の傍に膝をつく。
「……眠れないんですか」
 黙ったままの山姥切に手を伸ばして問えば、その瞳がわずかに揺らいだ気がした。一拍置いて、彼は審神者の手を握りながら小さく首を横に振った。
「なぜ、枕をここに?」
 山姥切の抱える枕に目をやり、尋ねた。彼は困ったように眉を下げる。
「あんたが寝るまで、一緒にいてもいいだろうか」
「別に構いませんが……。そんな風にじっと見られていたら、落ち着かなくて寝られないかもしれませんね」
 審神者はくすりと笑って、掛け布団をめくった。山姥切はそれに促されるようにして、審神者が眠る布団に潜り込んだ。向かい合って横になる。
「こういうときは、素直になった方がいいですね」
 彼の頭を撫でるように手を伸ばす。さらりとした指通りのいい髪を優しくかき混ぜる。気持ち良さそうに山姥切は目を細めた。そのまま安心したように、胸元に額を押しつけてくる。「おやすみなさい」審神者は穏やかな声で囁いた。

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