相談に乗る/鍋
「相談が、あるんだが」
いつになく深刻そうな声色で彼はそう言った。私は居住まいを正すとそれに応える。
「はい。なんでしょう?」
すると彼は少し言いづらそうにしながらもこう告げた。
「今日の夕飯は鍋にしようと思うんだが、どうだろうか」
「鍋」
「そうだ、鍋だ。厨番に料理に自信のある者がいないから市販の鍋の素で誤魔化すことになった。あごだし、レモン、にんにく醤油、キムチ、みそ、豆乳など各種揃え、机ごとに味を変える予定だ。どうだろうか」
不安そうに尋ねてくる彼に私は微笑みかけると、「いいと思います!」と答えたのだった。
「本当か? もっと手の込んだもののほうが良かったんじゃないのか? 手抜きと思われないだろうか? 俺が写しだからできないんだと思われないだろうか?」
「いやいや、誰もそんな風には思いませんよ。それに鍋パーティーみたいで楽しそうじゃないですか。私はレモン鍋が気になりますね。さっぱりしていて美味しいんでしょうねえ……」
机の上に用意されたさまざまな味の鍋の味を想像する。「夕食の時間が楽しみですね」そう答えれば、山姥切は安心したように息をついた。