☆おまけ4(小話)
※本編より前の話
山姥切国広が本丸の主である審神者に恋をしているのは、もはや周知の事実だった。
そんなわけで、あとはいつ山姥切が告白し、ふたりが結ばれるかということだけが問題になっていたのだが、その肝心の山姥切が全く行動に移す様子がない。それどころか、本刃に恋心の自覚がないことが、最近、堀川国広の調査によって判明してしまった。
「マジかよ……?」
和泉守兼定は信じられないという表情で呟いた。他の刀剣たちも呆然としている。堀川国広は困ったような顔をしながら、ぽつりと言った。
「うん、嘘とか冗談とかじゃなくて、本気で言ってるみたい」
「いやいやいやいや、待ってくれよ。ありえねぇだろ。あいつは主のことが好きで好きで仕方ないはずだぜ?」
「僕もそう思うんだけどね。でも、どうやら本当に気づいていないみたいなんだよね」
「マジかよ……」
山姥切国広の主に対する接し方を見ていると、彼が主に惚れていることは一目瞭然だ。しかし、彼はそれを頑なに認めようとしない。
自分はただの臣下であり、彼女は主君だから。恋愛感情を抱くなどあってはならないことなのだ。――それが彼の主張だった。
そんなことを言いつつ、審神者が誰かと話しているだけで嫉妬心丸出しの顔をして睨んでくるくせに、何を言っているんだという話である。
だが、本人が気づいていない以上、こちらから指摘するのも気が引ける。何しろ、相手はあの山姥切国広だ。山姥切は写しであることを気にしていて、卑屈な性格をしている。そんな彼に、お前は主にべた惚れである、と指摘したところで、まともに取り合ってもらえるとは思えなかった。下手したらいつもの「どうせ俺が写しだあーだこーだ」と言い始めてしまうことだろう。
かといって放っておくと、いつまでもこの状態が続くかもしれない。何か手を打たなければ。無自覚が引き起こす、あの砂糖菓子のように甘い空間に、和泉守は堪えられそうもない。和泉守は山姥切と同じ部隊に配置されることが多いのだ。これ以上、胸焼けを起こすのはごめんである。
一同は頭を悩ませていた。
すると、そこに鶴の一声ならぬ、鶴丸国永の一声があがった。
「よし! ここは驚きの方法で山姥切の奴に恋心を自覚させようじゃないか!」
名案だと言わんばかりに、満面の笑みを浮かべている。
一同は驚いたように目を見開いた。鶴丸は得意げに話を続ける。
「つまり、こうすればいいのさ! 山姥切が主に告白したくなるような状況を作る! 例えば、主とふたりきりの状況を作ってやる! そこで、山姥切が告白しようと決意するまで待つ!」
おお! と歓声があがる。
これならいけそうだと皆思ったらしい。
初期刀である山姥切は審神者とよく一緒にいることが多い。きっとふたりきりになる機会はいくらでもある。問題はどうやって山姥切に告白を決意させるかだが、そこは鶴丸国永に任せれば大丈夫だろう。「……任せて大丈夫か」という不安の声もあがったが、まあそこはなるようになれである。
かくして、山姥切国広の告白大作戦が始まった。