さわやかな朝。いつもより早く起きた山姥切は、あくびをかみころしながら、静かな廊下を歩く。空から降り注ぐ光が今日はいやにまぶしい。
手でかげを作りながら目を細めていると、前方から同じく眠そうな審神者が歩いてきた。大口であくびをする瞬間をとらえると、山姥切に気づいた彼女は照れくさそうに頬をかく。
「みっともないとこ見られちゃった。おはよう、いい天気だね」
「ああ」
朗らかな審神者とは対照的に無愛想な態度だが、彼女は気にした様子は見せない。むしろ、どこか楽しそうですらある。
「どうかしたのか」
「山姥切くんもかわいいとこあるんだな、って思って。早起きするといいことがあるっていうけど、ほんとだね。珍しいもの見ちゃった」
審神者はにこにこと微笑みながら、なぜか自分の頭を指さす。
「あとで鏡見てみて」
そう言って、山姥切を置いて歩いて行く。彼女の足取りは軽い。そんな審神者に小首を傾げながら、言われたとおり鏡を見るために洗面所へ急ぐ。
洗面所で鏡をのぞくと、そこには常に身につけているぼろ布をまとわない、見慣れぬ自分の姿があった。そのうえ、髪の毛が一房、あらぬ方向に跳ねている。
寝起きでぼんやりしているにもほどがある。朝日が目にしみるのもどうりだ。急に頬が熱く感じてきた。
手早く髪の毛に水をつけると、山姥切は大切な布を手にするべく自室へと急いだ。