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2024年11月18日(月) 11:18:56〔1年以上前〕 更新
■カテゴリ「SS」[20件] ( 20 件 )
2023/09/12 (Tue)
23:32:32
No.25
by
みやこ
〔2年以上前〕
【アヘ顔/ファンサービス/距離感】の別ver。健全。#姥さに のつもりだったけど、山姥切の名前出てきません。
どこかの本丸でアイドルをしている#豊前江 が出てきますが喋りません。
最近、主はとあるアイドルグループの豊前江に夢中である。今日も今日とて大広間の大型端末の前を陣取って、ライブ映像を流しつつペンライトを振っている。
「キャー、豊前くんかっこいい~! 最&高~! アイドルしてる~!」
今日も今日とて、主は興奮しきった様子で、うっとりと目を細めている。俺はそんな主の正面に回り込んで、ぐっと顔を近付けた。
「……そんなにいいか? その、豊前江が」
「えっ……あ、う、うん! いいよ! すっごく!」
途端主は顔を赤くして目を逸らすと、端末の映像に意識を向けた。そしてまた、「ンギャー!」と奇声を上げる。普段の落ち着きはどこへやら、すっかり語彙力が消失してしまっている。
「うちの本丸の豊前江と何が違うんだ?」
我が本丸にいる豊前江は、主が特に熱を上げて応援しているアイドルグループ・江の刀たちと同じ姿形だ。何がここまで主の心を惹き付けるのか、俺には見当がつかなかった。
主はペンライトを振り回しながら、「そりゃ全然違うよ!」と食い気味に答えた。
「まず、うちの豊前はアイドルじゃないでしょ」
「まあ、それはそうだが」
わかりきったことだけ言うと、彼女はまた画面に視線を戻した。そして、うっとりと目を細める。
「画面の中の豊前くんは、本当にかっこいいの。キラキラしてるの。……あっ、豊前くんがこっち見た! 手振ってくれた! 好きー!」
「はいはい」
ライブ映像の彼が主に手を振るわけがないのに、彼女は興奮気味にそう叫んだ。そしてまた、ペンライトをぶんぶん振っている。
「うちの豊前江だって、あんたに手くらい振るだろう」
「まあ、それはそうだけど」
主はペンライトを畳の上に置くと、端末の画面に映る豊前江を指差した。
「でも、やっぱり違うんだよ。私、うちの豊前にウインクされてもどうもならないけど、豊前くんがこっち見て笑いかけてくれたら心臓が止まっちゃうかもしれない」
「……大袈裟な」
「大袈裟じゃないよ!」
主はくわっと目を見開くと、俺の肩を掴んで激しく前後に揺さぶった。
「豊前くんは、私の推しなの! アイドルなの! 推しに微笑まれて、意識を保っていられるわけがないでしょ!? わかる!?」
「わ、わかった! 落ち着け!」
俺は慌てて主の手を振り払い、距離を取った。主はぜえはあと肩で息をしている。そのまましばらく無言で息を整えていたが、画面から流れる音楽が変わると、興奮しきった様子で「キャー!」と声を上げた。
「は~、もう無理! 好き! 世界で一番好き!」
それから彼女は、俺の存在など忘れたようにアイドルの豊前江に夢中になった。ペンライトを振って声援を送り、合間に入るファンサでは歓喜のあまり悲鳴を上げて畳の上を転げ回る。画面の中の彼によるウインクを目の当たりにした主は、先の宣言通り失神した。俗にいう、アヘ顔である。
俺は呆れてため息をつくと、座布団に頭を預けて気を失った主を見下ろした。
「……まあ、あんたが幸せならいいんだが」
主は失神したままぴくりとも動かないが、端末から流れる歌声と映像は止まらない。
その後、主が意識を取り戻すまで、俺は延々と流れ続けるライブ映像に付き合い続けた。
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2023/09/11 (Mon)
00:31:31
No.24
by
みやこ
〔2年以上前〕
某アイドルグループとはなんの関係もない。
お題を回したらR18にするしかないお題が出たので挑戦してみようと思って書いた導入。まったくエロではない。ちなみにお題は「アヘ顔/ファンサービス/距離感」だった。幸せな展開を思いついたら、いつか続きを書きたい気もする。
SNW320という審神者で構成されたアイドルグループがある。その昔、日本に実在したというアイドルグループを参考にして作られたらしい。320人だなんて常識では考えられない人数だが、備前国、相模国、山城国……と普段はBZN32、SGM32、YMSR32というように小グループに分かれ、それぞれの国で活動している。ちなみに、SNW320と謳っているが実際はその倍ほどの人数で構成されている。やはり、多すぎである。
だから、私が抜けたところで何の影響もなかろう。元々アイドル活動など興味はないし、そもそも審神者なのだ。なぜ審神者がアイドルなどせねばならんのかと以前こんのすけに問うたことがあったが、「殺伐とした中、審神者様や刀剣男士の皆様たちに幸せを届けるためです」と言われて押し切られた。私のような無愛想な人間もアイドルになってしまったのだから、当時は深刻な人材不足だったのだろう。
だが、今は違う。可愛らしく愛想の良い子はたくさんいる。たとえば先日演練場で出会ったあの女性審神者などは、私よりもよっぽどアイドルらしかった。赤の他人の私にも笑顔を絶やさず、気さくに話しかけてくれた。ああいう人がアイドルに向いているのだ。
向いていないと思いながらも審神者としてのアイドル活動を3年続けた。もう、いいだろう。私は審神者業に専念したい。
「引退、ですか? それは……ちょっと。早すぎでは?」
こんのすけの反応は、概ね予想した通りだった。やはり、自分の主が引退するのは嫌なのだろう。SNW320のメンバーである審神者には余分に手当もでるからだ。
「いや、もう審神者業に専念したい」
「でも……」
なおも食い下がろうとするこんのすけを遮って続ける。
「そもそも、私はアイドルと正反対の人間だよ。無愛想で気難しいし、愛想笑いも下手だ。グループ内での人気を決める総選挙では、いつも下位の方だしね」
総選挙の結果など私にとっては些末なことだが、私の本丸の刀剣男士たちがなぜか悲しそうにする。それが心苦しい。
「ですが、主さまにもファンはいるんですよ」
「そんなの、いない」
きっぱり言い切ると、こんのすけも困った顔になった。
「そんなことありませんけどねえ……。ほら、いつもの方からファンレターが届いていますよ」
そう言って、こんのすけは一枚の封筒を差し出してきた。見覚えのあるそれは、私の熱心なファンだという人からの手紙だ。もうこれで何通目だろうか。
おそらく刀剣男士だろうその人からの手紙には、いつも丁寧な言葉が綴られている。ペーパーナイフで封を開け、便箋を開く。そこには見覚えのある筆跡で、日々の感想や応援する気持ちが綴られていた。そして、最後にこんな一言が添えられていた。
『次回のイベントで会えることを楽しみにしています』
私は深い溜息をついた。こんのすけがキラキラとした瞳でこちらを見上げてくる。その目は「まだアイドルはやめられませんね」と言っていた。
「……次で最後にする。キリもいいだろう?」
「まあ、主さまがそれでいいのでしたら」
こんのすけは渋々頷いた。私は手紙を封筒に戻し、執務机の中にそっとしまった。
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2023/07/29 (Sat)
23:02:49
No.22
by
みやこ
〔2年以上前〕
朝から雨が降っていた。部屋の中で主と二人きり、静かな時間が過ぎる。雨音だけが聞こえる中、主と触れ合っている。そっと指先を重ねれば主は柔らかく微笑みながら絡めてきた。こんなにも幸せなことがあるだろうか。ああ、好きだ、好きすぎてどうにかなりそうだ。胸の奥で炎が燃えている。熱くて苦しい。
今日はいつまで一緒にいられるのだろう。彼女はあえて俺たち刀剣男士を遠ざけ、自分の存在を希薄にしている節がある。そんな主が俺の気持ちを受け入れてくれたこと自体が奇跡だ。この想いに応えてくれることはないと思っていた。だからこの幸せだけで十分だと己に言い聞かせていたのに、欲深い心はそれを許さなかった。主が欲しい、もっと深く愛したい。そう思うたび胸の中が激しく暴れまわるのだ。
「……山姥切さん?」
考え込んでいると主が不安げに声をかけてくる。どうしたんですか、と心配そうな顔で俺を見つめていた。大丈夫だ、なんでもないと返すとほっとした様子になる。そして主はおずおずと身を寄せてきた。遠慮がちに触れ合うだけの小さな接触だったが俺は堪らなく幸せだった。彼女からの愛情を感じられたから。畳む
2023/06/17 (Sat)
00:16:54
No.20
by
みやこ
〔2年以上前〕
彼女の手を取り、手首の内側の柔らかい部分に口づける。唇を離せば赤い跡が残っていて満足感に浸れた。彼女は自分のものだと誇示できるような気がして嬉しい。俺はさらに彼女の服の袖を捲り上げ、腕にキスをする。二の腕には歯形もつけてやった。痛かったのか主は眉根を寄せたけれど知ったことか。
「痛いですよ」
主が咎めるように俺を見る。けれどその声音はとても甘い。だから俺は気にせず何度も彼女にキスをした。主の体にたくさん俺の跡を残しておきたいんだ。主が困った顔をしてもやめてやらない。
「もう……」
呆れ果てて諦めた様子の主の顔は少し赤くなっていた。それが嬉しくてまたキスをしてやる。すると主は仕方ないなとでも言うかのように小さく笑った。
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2023/06/12 (Mon)
22:05:39
No.17
by
みやこ
〔2年以上前〕
目の前に広がる鮮やかな黄色。本丸の庭には一面に菜の花が咲き誇っていた。
春らしい暖かい陽気の午後。山姥切国広は審神者と縁側に並んで座り、お茶を飲みながらぼんやりと景色を眺めていた。
「きれいですね」審神者の言葉に少し間をおいてからそうだな、と返す。
「見てきれい、食べておいしいだなんて、菜の花はすごい花です」
まずはおひたしでしょう。それに天ぷら、サラダ、パスタやおにぎり、汁物に入れてもいいですね。
指を一本ずつ折り曲げながら楽しそうに話す彼女を見て、山姥切は思わず微笑む。花を見ているというのに食べ物の話とは、食べることが好きな彼女らしい。
「ふふ、食い意地が張ってましたね。今はきれいな花を楽しまなくちゃいけませんね」
彼女は照れくさそうに笑って言った。
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2023/06/12 (Mon)
22:04:48
No.16
by
みやこ
〔2年以上前〕
特にすることもないので自室で本を読んでいたところ、好ましい気配がこちらに近づいてくるのがわかった。すぐに襖が開いて主が入ってくる。なにかと思って振り返る前に背中に軽い衝撃が走った。細い腕が回されて背中に彼女のやわらかい体が密着する。
「どうした?」と尋ねると彼女は答えた。
「充電中」
俺の背中に頭をぐりぐりと押しつけてくる。
しばらく好きにさせておいて、やがて俺は口を開いた。
「俺にもさせてくれ」
彼女の腕を振りほどいて向き直り、その華奢な体を抱きしめる。主が驚いたように身じろぎするのを気にせず強く力を込めると、彼女もまた同じように俺の背に手をまわした。主の肩に顔を埋めると、主はくすっと笑って言った。
「山姥切も甘えん坊だね。同じだね」
「そうだな」
主は時々こうして俺にだけ見せる顔を見せる。俺だけが知っている主の顔。俺だけの特権。……俺だけの特別な時間だ。
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2023/06/12 (Mon)
22:03:47
No.15
by
みやこ
〔2年以上前〕
バチッと音が響いて視界に火花のようなものが散った。一瞬の痛みと衝撃に驚いて、伸ばしかけていた手を引っ込める。まじまじと手のひらを見つめ、それから触れようとしていた相手――主である審神者の方へと目を向けると彼女はすまなさそうに眉を下げて謝った。
「すみません。静電気みたいです。私、帯電しやすい体質で……」
審神者の言葉に山姥切はなるほどと納得した。だが、「お互いに痛いですし、あんまり触らないほうが……」と言われてしまうとなんだか残念な気持ちになる。暖かい季節はこんなことはなかったと思うが、まさか冬の間ずっと我慢しろというのか。それはちょっと酷ではないか。好いた相手に触れられないのはつらい。この感情を与えたのは他ならぬ彼女なのだから、責任を取って欲しいものだ、と山姥切は思う。
どうしたものかと考えていれば、審神者は困ったように笑って言った。
「部屋の加湿をして、肌の保湿をして、服に気をつければ少しはマシになるとは聞きますが、どうなんでしょうね」
「マシになるのなら、試してみる価値はあるんじゃないか」
あんたに触れたいから、とは言えない。山姥切は「短刀たちもあんたに触るたびにああやって静電気が起きていたら不憫だから、対策をした方がいいかもな」と言葉を濁した。
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2023/06/12 (Mon)
22:00:58
No.13
by
みやこ
〔2年以上前〕
寒さが厳しい日が続く中、審神者は執務室で仕事をしていた。暖房器具はあるが電気代の節約のため使用を控えている。そのため、部屋の外とあまり変わらない気温で作業を続けていた。
「さすがに冷えるなあ……」
独り言のように呟き、とうに冷めてしまった茶をすする。そのとき、障子の向こうから声が聞こえた。
「失礼する」
山姥切国広の声だ。返事をして入室を促すと、彼は遠慮がちに部屋に入ってきた。そして後ろ手に戸を閉めた後、審神者の傍へ歩み寄る。
「……おい、この部屋冷えるぞ。大丈夫なのか?」
心配そうな表情を浮かべる彼に、審神者の顔は自然と綻んだ。
「お気遣いありがとうございます。ですが平気ですよ。慣れていますから」
「だがあんたが風邪を引いたりしたら大変だ。……そうだ、これを使え」
彼はポケットから何かを取り出し、審神者に握らせる。それは使い捨てカイロだった。
「温かい飲み物を用意してやるから待っていろ」
立ち上がって慌ただしく厨へ向かう彼を見送り、手のひらの中の温もりを感じながら、審神者は小さく微笑んだ。
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2023/06/12 (Mon)
21:59:39
No.12
by
みやこ
〔2年以上前〕
「あわわ、あるじどの~おやめください~」
鳴狐のお供のキツネは困っていた。それはもう心の底から。何故なら、
「よいではないかよいではないか、ぷにぷに~」
と、審神者がキツネの肉球を触っているからだ。動物好きの彼女は暇さえあればこうして構ってくる。特に肉球がお気に入りらしく、いつもこのように揉んでくるのだ。
最初は良かった。審神者に構ってもらえるのは嬉しいし、一緒にいる鳴狐も彼女がそばにいると楽しげにしている。だが、それも毎回となると話は別だ。何せずっとこの調子なのだから。飽きてくれればいいものの一向に止む気配がない。そろそろ解放してほしいと思うのだが、
「ふふふ~、肉球可愛いね。でもそれだけじゃないんだよ。こことかここも可愛いよ」
こう言って今度は毛並みを撫でてくるのだからどうしようもない。もはや抵抗する気力すらなくされるがままになっている。そのうち諦めて身を委ねているうちに、キツネは眠りに落ちてしまった。
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山城国の本丸のシリーズ。視線を感じるという審神者に刀剣男士たちは…。オチが思いつかなかったので尻切れトンボ。お題は「のぞき穴」。
今まで特に説明書きしませんでしたが、刀剣男士がわちゃわちゃしてる系は大体山城国の同じ本丸のことが多いです。シリーズの方も早く男士増やしていきたい。
最近、執務室にいると誰かの視線を感じるんですよ。
眉を下げながら審神者が告げる。その口調に怖がっている様子はなかったが、それでもどこか落ち着かない感じだった。「自意識過剰かもしれませんね」困ったように笑う彼女に山姥切国広は無言で首を横に振った。慎重な彼女は不用意なことを口にしないし、そんな風に感じるような出来事があっても決して他人には言わないだろう。そんな彼女が思わず言葉にしてしまうほど、その視線は無視できないものだったのだ。
「今日も一日ありがとうございました。明日もよろしくお願いします」
一通り業務を終えた審神者が、現世にある家に帰宅するためゲートへと向かう。その背を見送り、山姥切は小さくため息をついた。審神者がいなくなると本丸は少し静かになる。みんなが休むための支度を始めるからだ。
だが、今日は違う。山姥切は踵を返し、広間に向かった。そこには本丸の刀剣男士たちが集まっているはずだった。山姥切は障子の前で足を止める。室内からは楽しげな話し声が聞こえてきたが、障子を開けた途端ぴたりと止まった。山姥切はそのまま部屋に上がり込み腰をおろす。そして部屋にいた者全員を見渡した。
「集まってもらったのは、聞きたいことがあったからだ」
しんと静まり返った部屋の中、皆の視線を受けながら単刀直入に切り出した。刀剣たちはお互いに顔をみあわせながら困惑気味な表情をしている。
「この中に主を覗き見ているやつはいるか? 正直に答えてくれ」
その問いに対して誰も何も答えない。山姥切は黙って周囲の出方をうかがった。静かな時間が流れる中、薬研藤四郎が腕組みしながら口を開いた。
「それは一体どういうことだ? 俺たちを疑っているということか?」
彼は落ち着いた声でそう尋ねる。短刀でありながら他の刀たちと変わらない冷静さを持っていた。だがその目は笑っていない。彼の隣にいる小夜左文字もまた無言で山姥切を見つめていた。
「そういうわけじゃない。一応、確認をしておきたかっただけだ。……誰かが主のことを心配して見守っていた、という可能性もなくはないしな」
独り言のように呟く。その言葉を聞き逃さなかった何人かの視線を感じた。「何があったんだ?」薬研がさらに問う。山姥切は一度目を伏せて息を吐いた。
「ここ数日、執務室にいると視線を感じるらしい。主は初めは気のせいだと思っていたみたいなんだが、日が経つにつれてそれが気になってきたようでな。あの人が口にするくらいだから、よっぽどなんだろう」
「……ストーカーがいるかもしれないってこと?」乱藤四郎が恐る恐るといった様子で尋ねた。「すとぉかぁ……?」言葉の意味がわからないのか首を傾げる愛染国俊に厚藤四郎が説明する。「まあ、簡単に言えば主に付きまとい行為をするようなやつのことだ」すると納得したように「なるほどなー」と言ってうんうんとうなずいていた。
「でもさぁ、そんな怪しいヤツ、本丸で見た? 俺は見たことないけど」
加州清光の疑問に皆一様に首を横に振った。「僕もです」と堀川国広が同意するように口を開くと「俺も」「私もです」とさざ波のように続いた。「だいたい、そんなの居たら斬っちゃうよね」髭切がにっこり微笑みながら不穏なことをさらっと言う。山姥切は一瞬ぎょっとしたが、他の刀剣たちは慣れた様子でそうだねとうなずいていた。
「……念のため聞いておきますけど、鶴丸国永、あなた何か企んでたりします?」
今まで黙っていた宗三左文字がふと口を開いた。名指しされた彼はきょとんとした顔を浮かべる。
「いや? 特に何も考えてないが……って、俺がそういう驚きは嫌いだって知ってるだろう? 驚かすなら喜ばせないとな! まったく君というやつは俺を何だと思っているんだ……」
ぶつくさ文句を言う鶴丸に「念のためですよ、念のため」と悪びれることもなく言い放つ。本当に疑っているわけではないようで、宗三はあっさりと会話を切り上げた。山姥切はちらりと宗三を見たあと視線を戻した。この男はどうにも読めないところがある。いつも何を考えているのかわかりにくい。
「……で? 結局、どうするんだ?」
そう問いかけてきたのは同田貫正国だった。山姥切は考え込むように腕を組む。
「本丸の警備を強化しましょうか?」
手を挙げて提案するのは前田藤四郎だ。審神者のことを心の底から案じているようであり、その瞳には使命感が宿っている。「それが一番かもしれないな」山姥切がうなずくと、「じゃあ、私は本丸の結界を確認してこようかな」と石切丸が立ち上がった。「私も行きましょう」太郎太刀も彼に続く。
「ぼくはしつむしつにいって、へんなものがないか、かくにんしてきます!」今剣がぴょんと飛び跳ねて広間を出ていった。その後を数振りの仲間が追いかけていく。
「……なあ、万が一不審者がいたとして、見つけたらどうすんだ?」
我関せずの態度だった肥前忠広が面倒そうに口を開く。
「生け捕りにするのがいいんじゃないかね」
眼鏡を押し上げながら南海太郎朝尊が発言する。その目は獲物を狙うように鋭く細められていた。彼の隣では陸奥守吉行が腕を組んでうなずいている。「万が一、居たらの話だけどな」同田貫正国が釘をさすように言う。だがそれはどこか楽しげでもあった。
「捕まえた後、どうするんですか?」
平野藤四郎が尋ねる。すると「政府に突き出すか?」と御手杵が首を傾げた。それには山姥切も同意するように一度小さくうなずいてみせる。「そうするのが妥当だろう」と。
そうして話がまとまると、彼らはそれぞれの役目を果たすべく広間を出て行った。
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