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2024年11月18日(月) 11:18:56〔1年以上前〕 更新
■タグ「姥さに」[13件] ( 13 件 )
2023/07/29 (Sat)
23:02:49
No.22
by
みやこ
〔2年以上前〕
朝から雨が降っていた。部屋の中で主と二人きり、静かな時間が過ぎる。雨音だけが聞こえる中、主と触れ合っている。そっと指先を重ねれば主は柔らかく微笑みながら絡めてきた。こんなにも幸せなことがあるだろうか。ああ、好きだ、好きすぎてどうにかなりそうだ。胸の奥で炎が燃えている。熱くて苦しい。
今日はいつまで一緒にいられるのだろう。彼女はあえて俺たち刀剣男士を遠ざけ、自分の存在を希薄にしている節がある。そんな主が俺の気持ちを受け入れてくれたこと自体が奇跡だ。この想いに応えてくれることはないと思っていた。だからこの幸せだけで十分だと己に言い聞かせていたのに、欲深い心はそれを許さなかった。主が欲しい、もっと深く愛したい。そう思うたび胸の中が激しく暴れまわるのだ。
「……山姥切さん?」
考え込んでいると主が不安げに声をかけてくる。どうしたんですか、と心配そうな顔で俺を見つめていた。大丈夫だ、なんでもないと返すとほっとした様子になる。そして主はおずおずと身を寄せてきた。遠慮がちに触れ合うだけの小さな接触だったが俺は堪らなく幸せだった。彼女からの愛情を感じられたから。畳む
2023/06/17 (Sat)
00:16:54
No.20
by
みやこ
〔2年以上前〕
彼女の手を取り、手首の内側の柔らかい部分に口づける。唇を離せば赤い跡が残っていて満足感に浸れた。彼女は自分のものだと誇示できるような気がして嬉しい。俺はさらに彼女の服の袖を捲り上げ、腕にキスをする。二の腕には歯形もつけてやった。痛かったのか主は眉根を寄せたけれど知ったことか。
「痛いですよ」
主が咎めるように俺を見る。けれどその声音はとても甘い。だから俺は気にせず何度も彼女にキスをした。主の体にたくさん俺の跡を残しておきたいんだ。主が困った顔をしてもやめてやらない。
「もう……」
呆れ果てて諦めた様子の主の顔は少し赤くなっていた。それが嬉しくてまたキスをしてやる。すると主は仕方ないなとでも言うかのように小さく笑った。
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2023/06/12 (Mon)
22:05:39
No.17
by
みやこ
〔2年以上前〕
目の前に広がる鮮やかな黄色。本丸の庭には一面に菜の花が咲き誇っていた。
春らしい暖かい陽気の午後。山姥切国広は審神者と縁側に並んで座り、お茶を飲みながらぼんやりと景色を眺めていた。
「きれいですね」審神者の言葉に少し間をおいてからそうだな、と返す。
「見てきれい、食べておいしいだなんて、菜の花はすごい花です」
まずはおひたしでしょう。それに天ぷら、サラダ、パスタやおにぎり、汁物に入れてもいいですね。
指を一本ずつ折り曲げながら楽しそうに話す彼女を見て、山姥切は思わず微笑む。花を見ているというのに食べ物の話とは、食べることが好きな彼女らしい。
「ふふ、食い意地が張ってましたね。今はきれいな花を楽しまなくちゃいけませんね」
彼女は照れくさそうに笑って言った。
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2023/06/12 (Mon)
22:04:48
No.16
by
みやこ
〔2年以上前〕
特にすることもないので自室で本を読んでいたところ、好ましい気配がこちらに近づいてくるのがわかった。すぐに襖が開いて主が入ってくる。なにかと思って振り返る前に背中に軽い衝撃が走った。細い腕が回されて背中に彼女のやわらかい体が密着する。
「どうした?」と尋ねると彼女は答えた。
「充電中」
俺の背中に頭をぐりぐりと押しつけてくる。
しばらく好きにさせておいて、やがて俺は口を開いた。
「俺にもさせてくれ」
彼女の腕を振りほどいて向き直り、その華奢な体を抱きしめる。主が驚いたように身じろぎするのを気にせず強く力を込めると、彼女もまた同じように俺の背に手をまわした。主の肩に顔を埋めると、主はくすっと笑って言った。
「山姥切も甘えん坊だね。同じだね」
「そうだな」
主は時々こうして俺にだけ見せる顔を見せる。俺だけが知っている主の顔。俺だけの特権。……俺だけの特別な時間だ。
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2023/06/12 (Mon)
22:03:47
No.15
by
みやこ
〔2年以上前〕
バチッと音が響いて視界に火花のようなものが散った。一瞬の痛みと衝撃に驚いて、伸ばしかけていた手を引っ込める。まじまじと手のひらを見つめ、それから触れようとしていた相手――主である審神者の方へと目を向けると彼女はすまなさそうに眉を下げて謝った。
「すみません。静電気みたいです。私、帯電しやすい体質で……」
審神者の言葉に山姥切はなるほどと納得した。だが、「お互いに痛いですし、あんまり触らないほうが……」と言われてしまうとなんだか残念な気持ちになる。暖かい季節はこんなことはなかったと思うが、まさか冬の間ずっと我慢しろというのか。それはちょっと酷ではないか。好いた相手に触れられないのはつらい。この感情を与えたのは他ならぬ彼女なのだから、責任を取って欲しいものだ、と山姥切は思う。
どうしたものかと考えていれば、審神者は困ったように笑って言った。
「部屋の加湿をして、肌の保湿をして、服に気をつければ少しはマシになるとは聞きますが、どうなんでしょうね」
「マシになるのなら、試してみる価値はあるんじゃないか」
あんたに触れたいから、とは言えない。山姥切は「短刀たちもあんたに触るたびにああやって静電気が起きていたら不憫だから、対策をした方がいいかもな」と言葉を濁した。
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2023/06/12 (Mon)
22:00:58
No.13
by
みやこ
〔2年以上前〕
寒さが厳しい日が続く中、審神者は執務室で仕事をしていた。暖房器具はあるが電気代の節約のため使用を控えている。そのため、部屋の外とあまり変わらない気温で作業を続けていた。
「さすがに冷えるなあ……」
独り言のように呟き、とうに冷めてしまった茶をすする。そのとき、障子の向こうから声が聞こえた。
「失礼する」
山姥切国広の声だ。返事をして入室を促すと、彼は遠慮がちに部屋に入ってきた。そして後ろ手に戸を閉めた後、審神者の傍へ歩み寄る。
「……おい、この部屋冷えるぞ。大丈夫なのか?」
心配そうな表情を浮かべる彼に、審神者の顔は自然と綻んだ。
「お気遣いありがとうございます。ですが平気ですよ。慣れていますから」
「だがあんたが風邪を引いたりしたら大変だ。……そうだ、これを使え」
彼はポケットから何かを取り出し、審神者に握らせる。それは使い捨てカイロだった。
「温かい飲み物を用意してやるから待っていろ」
立ち上がって慌ただしく厨へ向かう彼を見送り、手のひらの中の温もりを感じながら、審神者は小さく微笑んだ。
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2023/06/12 (Mon)
21:50:40
No.10
by
みやこ
〔2年以上前〕
「うっ……」
急に込み上げてきた吐き気。慌ててトイレへと駆け込む。そしてそのまま胃の中のものを吐き出した。最近、こういうことが増えてきている。食欲不振に、倦怠感。これはきっと風邪の症状ではないのだろう。ふらふらしながら自室に戻る。その途中、ぐらりと視界が傾いだ。
「……あれ?」
倒れそうになったところを、間一髪のところで支えられる。見上げると、そこには山姥切国広の姿が。
「どうした」
「すみません、ちょっと目眩がして……」
「無理はするな」
そう言って彼は私の身体を支えてくれる。彼の手は大きくて温かい。そんなことをぼんやりと考えていると、彼はおもむろに私の頬に触れた。
「熱があるな……」
「そうでしょうか」
「今日はもう休め。部屋まで送っていく」
「はい」
彼に手を引かれるまま、部屋へと向かう。不思議と先ほどまでのひどい吐き気は消えていて、私はただ黙って歩き続けた。
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2023/06/12 (Mon)
21:46:03
No.9
by
みやこ
〔2年以上前〕
そこに座ってくれと言われたので、審神者は彼の言うとおり、黙って用意された座布団の上に正座していた。目の前にはかしこまった様子で座す山姥切がいる。彼の顔は真剣そのもの。審神者は思わず背筋を伸ばした。いったい何を言われるのか。太ももに置いた手のひらが緊張で汗ばんでいた。
「……俺とあんたが恋仲になって、もうひと月になる。だから……その……これくらいのことなら、してもいいのではと思ってだな……」
山姥切は腰を浮かした。伸びた指先がそっと審神者のあごを持ち上げる。まっすぐな瞳が向けられた。綺麗な碧色。吸い込まれてしまいそうだ、と思う。山姥切の顔がゆっくりと近づいてくる。目をそらせずにいると、やがて互いの鼻先がくっついた。
「……いいか?」
その問いかけに、こくりと首を縦に振った。目を閉じれば、彼の唇が自分のそれに重なる。柔らかい感触に心臓が大きく跳ねた。数秒ほど触れ合ってから彼は離れていった。
ドキドキとうるさい鼓動を鎮めようと胸を押さえる。これで終わりかな、そんなことを審神者が考えていると、山姥切は「まだ。もう少し」と再び顔を寄せてきた。
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2023/06/12 (Mon)
21:43:36
No.8
by
みやこ
〔2年以上前〕
審神者が鏡の前で何やら粧しこんでいる。普段は最低限のメイクしかしていない彼女だが、今日は違う。アイシャドウにリップ、チーク、マスカラ、ファンデーション、口紅などなど。とにかくいろいろ塗ったり引いたり重ねたりして、顔を作っている。
いつになく浮かれた様子でその表情はどこか楽しげだ。いったい誰のためにこんなことをしているのか。
「主、どこかに出かけるのか?」
鏡越しに尋ねれば、彼女は「ええ、ちょっと」と言葉を濁した。
「言えない場所なのか? 護衛は?」
「えっとその……推しに会いに行きます。前田くんが一緒です」
そう言って、鏡の中の審神者が微笑む。
俺の知らない顔だった。「そ、そうか」動揺を隠すようにそう返せば、審神者は「はい」と嬉しそうな顔をする。
「それじゃあ行ってきますね」
「ああ」
うまく笑えただろうか。山姥切は審神者の背中を見送ってからそっと息を吐いた。そして、考える。推しってなんなのだ、と。
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【アヘ顔/ファンサービス/距離感】の別ver。健全。#姥さに のつもりだったけど、山姥切の名前出てきません。
どこかの本丸でアイドルをしている#豊前江 が出てきますが喋りません。
最近、主はとあるアイドルグループの豊前江に夢中である。今日も今日とて大広間の大型端末の前を陣取って、ライブ映像を流しつつペンライトを振っている。
「キャー、豊前くんかっこいい~! 最&高~! アイドルしてる~!」
今日も今日とて、主は興奮しきった様子で、うっとりと目を細めている。俺はそんな主の正面に回り込んで、ぐっと顔を近付けた。
「……そんなにいいか? その、豊前江が」
「えっ……あ、う、うん! いいよ! すっごく!」
途端主は顔を赤くして目を逸らすと、端末の映像に意識を向けた。そしてまた、「ンギャー!」と奇声を上げる。普段の落ち着きはどこへやら、すっかり語彙力が消失してしまっている。
「うちの本丸の豊前江と何が違うんだ?」
我が本丸にいる豊前江は、主が特に熱を上げて応援しているアイドルグループ・江の刀たちと同じ姿形だ。何がここまで主の心を惹き付けるのか、俺には見当がつかなかった。
主はペンライトを振り回しながら、「そりゃ全然違うよ!」と食い気味に答えた。
「まず、うちの豊前はアイドルじゃないでしょ」
「まあ、それはそうだが」
わかりきったことだけ言うと、彼女はまた画面に視線を戻した。そして、うっとりと目を細める。
「画面の中の豊前くんは、本当にかっこいいの。キラキラしてるの。……あっ、豊前くんがこっち見た! 手振ってくれた! 好きー!」
「はいはい」
ライブ映像の彼が主に手を振るわけがないのに、彼女は興奮気味にそう叫んだ。そしてまた、ペンライトをぶんぶん振っている。
「うちの豊前江だって、あんたに手くらい振るだろう」
「まあ、それはそうだけど」
主はペンライトを畳の上に置くと、端末の画面に映る豊前江を指差した。
「でも、やっぱり違うんだよ。私、うちの豊前にウインクされてもどうもならないけど、豊前くんがこっち見て笑いかけてくれたら心臓が止まっちゃうかもしれない」
「……大袈裟な」
「大袈裟じゃないよ!」
主はくわっと目を見開くと、俺の肩を掴んで激しく前後に揺さぶった。
「豊前くんは、私の推しなの! アイドルなの! 推しに微笑まれて、意識を保っていられるわけがないでしょ!? わかる!?」
「わ、わかった! 落ち着け!」
俺は慌てて主の手を振り払い、距離を取った。主はぜえはあと肩で息をしている。そのまましばらく無言で息を整えていたが、画面から流れる音楽が変わると、興奮しきった様子で「キャー!」と声を上げた。
「は~、もう無理! 好き! 世界で一番好き!」
それから彼女は、俺の存在など忘れたようにアイドルの豊前江に夢中になった。ペンライトを振って声援を送り、合間に入るファンサでは歓喜のあまり悲鳴を上げて畳の上を転げ回る。画面の中の彼によるウインクを目の当たりにした主は、先の宣言通り失神した。俗にいう、アヘ顔である。
俺は呆れてため息をつくと、座布団に頭を預けて気を失った主を見下ろした。
「……まあ、あんたが幸せならいいんだが」
主は失神したままぴくりとも動かないが、端末から流れる歌声と映像は止まらない。
その後、主が意識を取り戻すまで、俺は延々と流れ続けるライブ映像に付き合い続けた。
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